1/fのλ値とパワースペクトル比較

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0.はじめに

1/fゆらぎは、リラックス効果をもたらす指標として用いられています。

前記事で、FFT(高速フーリエ変換)にかける曲のデータを、シャッフルしてもパワースペクトルが同じなるのではないかと疑問に思い、1/f評価は本当にリラクゼーションをもたらす評価指標として妥当な値がでているのか調べてみました。

1.データ並び替えでパワースペクトルは変化するのか

実際に音声データを何区間か区分し、ランダムに並び替えたデータ(シャッフルデータ)と元データをFFT変換し、パワースペクトルとλ値の変化をみてみました。

使用FFT変換ソフト:ゆらぎアナライザー
スペクトルとλ値は窓関数で若干変化しますが、窓関数なしで比較。
P=1/fλのλ値の計算は、スペクトルを区間に分け、その区間の平均値をとって式を算出しているようです。

データ曲:小フーガト短調

元データ

シャッフルデータ

結果
予想通りスペクトルとλ値に大きな差はないという結果になり、リズムやテンポの影響はあまりでないようですね。

2.様々な曲で比較

人に心地よさを与えるのは、λ値がだいたい1と言われていますが、今度は音楽のジャンルに分けてλ値を調べてみました。

クラシック系

クラシック系はλ=1(1/f)の曲が多いと言われているようですが、実際スペクトルを調べると確かにλ=1に近い値がでていました。

ゲーム音楽

ゲーム曲もクラシックに近いものが多いのですが、クラシックに近い落ち着く音楽(直観的にλ=1に近い曲を選択)をスペクトル変換したところ、λ値がほぼ1に近い値がでました。

カノンコード曲(声入り曲)

次に、「声」の入った曲ではどうなるか歌謡曲で調べてみました。

選出した曲は、リズムやテンポがよく人気曲に多く使用されている「カノンコード曲」でスペクトル分析してみました。

こちらはλ=1より小さく、だいたいλ=0.8程度のものが多く、ややバラツキが多い傾向の結果に。

パワースペクトルは、1の結果と合わせて考えてみると、

「人に心地のよいリズムやテンポであっても1/fになるというわけでない」

ことが分かります。

カノン進行曲は「C-G-Am-Em-F-C-F-G」で進むテンポの曲のことで、クラシックで有名なものは、
・カノン(λ=1.092)
・バッハのG線上のアリア(λ=0.784)
があります。

アニメソング(声入り曲)

次に、アニメソングでも調べたところ、「天空の城ラピュタ」のようなクラシックに近い落ち着く曲は、λがやや1に近い結果でしたが、全体的にλは低い結果となりました。

3.λ値比較、有意差検定

声の入っている曲と、声の入っていない曲で差がみられるような傾向があったので、
・声なし(クラシック、ゲーム)
・声あり(歌謡曲、アニメソング)
に分類して有意差検定を行い差があるか確認したところ、分散、平均ともに優位差がある結果となりました。

ボイスが入ってくるとλ値は低くなる傾向があるようで、音楽のジャンルごとによって、λ値に差がでる傾向があるのかもしれません。

4.クラシック系はなぜ1/fゆらぎに近くなるのか?

これまでのデータをまとめると

クラシック系のような音楽にはリズムやテンポに関係なく1/fゆらぎに近づく

という傾向にあるといえます。

では、なぜクラシック系は1/fに近くなるのか。

ソフト開発者の方も1/fゆらぎに関して同じ疑問を抱いているようで、その方の見解では下記のように、楽器の特性的なところにあるのかもしれません。

楽器の特性から考えますと、管楽器や弦楽器などの自然楽器は高域成分がなだらかに落ちていくのに対し、ハイハットやベースが強調されたいわゆる「ドンシャリ」系の音は高域と低域が強調されてスペクトルがフラットになります。

参考URL:誤解に満ちた1/fゆらぎの世界

5.不愉快な騒音音声の場合ではどうなる?

では、逆に工事現場のうるさい騒音ではどうなるのか・・。

1/fから大きく外れるだろう・・と予想していたのですが、

音声をFFTしてみると、予想を裏切り最もλ=1に近い結果に。。

果たして、不快な音でも、α波がでているのだろうか・・。、

工事現場の音声

6.宇多田ヒカルの音楽は1/fゆらぎなのか?

宇多田ヒカルや美空ひばりは「1/fゆらぎ」といった評判記事があり気になったので調べてみました。

宇多田ヒカルの2曲選択して調べてみると、だいたいλ=0.6近くの結果に。

生の声でも0.564と特に1/fゆらぎという結果ではありませんでした。

λがこのあたりに近かったのが麻原彰晃の歌う「尊師マーチ」!。

麻原彰晃は宇多田ヒカル並の歌唱レベルか!?

どうも、λの数値だけで心地よさの判断をするのは難しそうです。

7.まとめ

リラックス効果の高いクラシック系音楽ではλ=1に近い値はでているようなので、このあたりがリラックス効果の高い範囲なのかもしれませんが、騒音でもこの範囲にくることもあるので、λ値だけで判断することもできないなと思いました。

音楽で心地よく感じる曲には「カノンコード」などといった、コード進行によるものが多いので、時間軸的なリズム,テンポの評価も必要なのではないかと思います。