精神疾患について考える(その13) ~右脳派と左脳派は存在する?対極関係から右脳と左脳の関係をみてみよう~

精神疾患について考える

0.はじめに

前回のお話し

さて、前回は、対極の例を地球でみてみたけど、今回は「人の脳」でもみてみようか。

人の脳は、右脳と左脳に分かれていて、クリエイティブな人は「右脳派」、論理的な人は「左脳派」ってよく聞くよね。

そうだね。そのあたりからみていこう。

1.右脳派と左脳派とはどんなもの?

かつて、人の考え方の特徴やタイプを表すのに、「右脳型」「左脳型」といった言葉が良く使われ、男性は左脳型、女性は右脳型、あるいは、左脳型は論理的で解析的、右脳型は創造性があって感情的とされ話題となっていました。
まず最初に、どのような診断かみてみましょう。

1-1.診断方法

①両手を組んで親指が下になるのは右手、左手?

右の親指が下になる場合⇒右脳
左の親指が下になる場合⇒左脳

②両腕を組んで下になるのは右手、左手?

右の腕が下になる場合⇒右脳
左の腕が下になる場合⇒左脳

1-2.診断結果

①②の診断結果を組み合わせてタイプを当てはめてみましょう。

画像参照:izmic

左脳・左脳型
論理的に捉え論理的に処理

物事の分析力が高い、デザインよりも機能性や合理性を重視、シンプルな見た目が好き、冷静でしっかりした方も多い。
几帳面で努力家

右脳・左脳型
 直観的にとらえ論理的に処理

物事を感覚的に捕らえ、緻密さをもって表現しようとします。協調性があり信念があり、頼れる人も多い。
完璧主義で自分で決めたい個性派

左脳・右脳型
 論理的にとらえ感覚的に処理

理想と現実とのギャップに苦しむ自己矛盾型
転じて細かいことは考えないタイプ。
独自の基準を持った人が多く、発想や行動も個性的です。

右脳・右脳型
 直観的にとらえ感覚的に処理

楽天的でマイペース。直観と閃き重視な感覚人間タイプ。
美的センスにも優れルックス重視。

診断結果では、ほとんどの人が該当していて、該当していない人は4%という結果も。

この診断方法は、誰によって、どのようにしてつくられたのか分からないようだ。

参考:All About my Salsa

2.右脳派・左脳派の歴史

2-1.右脳型と左脳型の考え方が広まった発端

右脳派・左脳派の考え方が話題となったのは、カリフォルニア工科大学でノーベル生理学・医学賞受賞者でもあった神経学者ロジャー・W・スペリーが発した言葉によるものと言われています。

右脳と左脳は脳梁で結合されていますが、科学者は長いこと、脳は片方の半球をまるごと取り除いても機能するので、なぜそんな不必要な重複性を備えているのだろうかと不思議に思っていたようです。
かつて癲癇(てんかん)手術では脳梁を切断し、右脳と左脳を分断するという乱暴な外科手術が行われていました。
これによって、癲癇発作の症状は治まるものの、奇妙な別の症状が見られたといいます。
例えば、片方の手でズボンをあげようとすると、もう片方の手がさげようとして、本人の意思と関係なく手が動くといったことです。
その他、学習、記憶面においてもこのような、左右の独立性がみられたといいます。

スペリーは、左右ふたつの脳半球がそっくり同じコピーではなく、それぞれ分化し、独立した意識をもって仕事をしていることを明らかにした功績で、1981年にノーベル賞を受賞しました。
右脳、左脳それぞれ分化した機能をもち、お互いに連携・統合され役割を果たすといったことが、後に、このことが歪曲拡大解釈されて世間に流布されてしまい、「右脳型、左脳型」へと繋がっていったようです。

すごい!
対極の真理を知っていると、右脳と左脳に違いがあるということは、いちいち調べなくても事前に予測できるんですね。

ま、ノーベル賞10個もんだな。


2-2.fMRI画像結果では右脳派と左脳派は存在しない

近年になり、fMRI画像の解析が可能になってくると、右脳、左脳のどちらが優位に働くかといった傾向はみられなかったという研究結果もでてきているようです。

米ユタ州ソルトレイクシティにあるユタ大学の神経科学者、ジェフ・アンダーソン率いる研究チームは、2年間に渡り、7~29歳の1011人の被験者の脳の神経活動を観察、7000以上の区域に分けた脳画像から右脳・左脳の機能に個人差があるのかどうかを、IDI(International Neuroimaging Data-Sharing Initiative、国際神経画像データ共有イニシアチブ)と呼ばれるデータベースから得られるMRI脳画像を利用して解析を行った。

その結果、左右の脳機能の使い方に個人差があるのかどうか、その関連性は発見できなかったという。言語機能は左脳、注意力は右脳というように、機能によって左右どちらかの脳が活発になる傾向があることは確かだが、その人によってどちらかの脳が片方の脳より強く活動的で、連結が深いという現象は見られなかったという。 

脳の活動性や連結力に関連性がないとすると、コメント欄で指摘されているように、1つの問いに対しての脳の処理工程(答えを導き出せるか?は別)は変わらないわけで、「人それぞれ右脳左脳の使い方が違うから得意不得意が出る」というわけではなく、「人それぞれ右脳左脳の性能に偏りがあるから得意不得意が出る」ということになるのかもしれない。いわばその人の個性と言ったところなのだろうか?

カラパイア
New Study Questions Myth Of Left-Brained And Right-Brained Personality Traits
A new study completed by University of Utah neuroscientists concludes there is no evidence existing within brain imaging that pinpoints a difference in the way ...

3.右脳と左脳の働きの違い

右脳と左脳のそれぞれの機能をみてみましょう。

右脳派は芸術的、左脳派は論理的といったタイプは誇張されたものではありますが、左脳と右脳はそれぞれ特化した機能をもっていることは確認されています。

左脳は主に、分析、論理、計算、話すといった言語的なコミュニケーションを司り、右脳はひらめき、直感、空間、音、五感、イメージ、感情など非言語的なコミュニケーションを司っています。

言い換えると、左脳は情報を言語的、右脳はイメージや感覚的なものとして認識し、整理する役割を果たしています。
右脳も左脳も物事を整理して記憶しますが、イメージで記憶することで左脳の数千倍もの情報が処理できると言われています。
全体的には左脳が支配し、命令は左脳から脳梁を経て右脳に伝達、右脳と左脳の間を行き来した後、最終的に左脳で判断が下されます。

幼少期は右脳の働きが活発で、成長するにつれて左脳が活発化し、言語を覚えていくようになります。、
日本の義務教育は、どちらかというと左脳教育といわれています。
そのため、大人になると右脳をいかに使うかが、脳を活性化させる一つのポイントになります。

右脳と左脳の機能の違いをみると、ADHDは左脳優位、ASDは右脳優位にもみえるような・・。

右脳と左脳の性能差が影響しているのかな?

4.まとめ

右脳と左脳は、それぞれ非言語的、言語的情報を捉え、異なった処理をする機能をもっています。
それぞれ単独で処理しているのではなく、お互い連携しあって処理されており、どちらかに偏って処理されているというわけではありません。
しかし、科学的根拠は弱いものの、右脳・左脳診断では「当たっている」と答える人が多いのは、たんなるパーナム効果?

おまけ:左利きに天才が多いという説

右脳、左脳は機能的に分化していますが、特に言語活動を司る領域は、人によって左右いずれかに存在していることが知られています。
この言語を司る領域は、「言語野」と呼ばれ、解剖学的にいうと「ブローカ野」、「ウェルニッケ野」に該当します。
ブローカ野は、言語を発する機能を担い、ウェルニッケ野は人の話しを聞いて理解する機能をもっています。
この部分が損傷すると、「失語症」など言語障害をもたらすことになります。

また、右脳は左半身を、左脳は右半身を司っているように、身体も対極関係をもちながら機能しています。
言語野の存在する側を「優位半球」といい、利き腕は、優位半球と相関があることが知られています。
左利きに天才が多いと言われる理由の一つに、 「右利きの人は言語野の優位半球が左脳にあり、左利きの人は右脳にある」 といった説が影響していると考えられるようになったのも、このことが影響しているようです。

しかし、後の研究において、右利きの人はほとんどが左脳に言語野はあるものの、左利きの人でも7割が左脳に存在するといった結果がでており、左利きだからといって言語野が必ずしも右脳に存在するというわけではありません。
左利きの残り3割のうち、約2割が右脳に、1割が左右両方に言語野をもっていることから、全体の約9割の人は左脳に言語野をもっていることになります。

左利きの人の中に、言語野が右脳側にある確率は高いということと、右脳が鍛えられるということを考えると、特殊な人がいるというようにも思えますね。

有名な天才の多くは左利きと言われているけれど、数百年前の人の利き腕がわかるのかどうか・・。