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精神疾患(うつ病、双極性障害等)と投薬療法③ ~モノアミン(ドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニン)の特徴と薬との関係~

向精神薬(抗うつ、抗精神、睡眠薬、抗不安薬)

0.はじめに

精神疾患(うつ病、統合失調症、双極性障害など)は神経伝達物質であるドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンといったモノアミンが関わっているとされる「モノアミン仮説」に基づいて、神経伝達物質を制御する投薬治療が行われています。

精神疾患の治療に使われる向精神薬は、睡眠薬、抗不安薬、抗精神薬、抗うつ薬があります。

これらの主要な向精神薬と関わりのある神経伝達物質は下記のような対応になります。

向精神薬と神経伝達物質との対応

睡眠薬・抗不安薬(不眠・不安障害)・・・γーアミノ酪酸(GABA)

抗精神薬(統合失調)・・・ドーパミン

抗うつ薬(うつ病)・・・セロトニン・ノルアドレナリン

本ページでは、精神疾患に関わる主要な神経伝達物質についての精神面に与える効果と形成過程についてみていきます。

神経伝達物質形成と作用

1.グルタミン酸、γ-アミノ酪酸(GABA)

睡眠薬、抗不安薬は、睡眠障害、全般性不安障害などでよく処方される薬で、主にベンゾジアゼピン系の薬が利用されGABA(ギャバ)の作用に関係しています。
GABA(ギャバ)はL-グルタミン(グルタミン)から合成されできたグルタミン酸から生成されます。
グルタミン酸、GABA(ギャバ)ともに神経伝達物質ですが、お互い、それぞれ興奮性と抑制性と相反する性質をもっています。

1-1.グルタミン酸・・・興奮作用 記憶・学習効果 過剰になると毒性

特徴

神経伝達物質には興奮と抑制作用のものに分けられますが、興奮作用の代表の一つがグルタミン酸です。

グルタミン酸はL-グルタミン(グルタミン)を元につくられ、脳のほぼ全域に存在し、特に大脳新皮質、海馬、小脳に多く存します。

働き・精神的作用

記憶、学習などの高次機能に重要な役割を果たしたり、毒素であるアンモニアをグルタミンに変えたりして脳機能の活性化を促す作用があります。

一方で、毒性としても働く一面があり、過剰に増えると細胞死、パーキンソン病、抑うつなどにも関わってきます。

1-2.GABA(ギャバ)・γーアミノ酪酸・・・興奮をおさえる

特徴

GABA(ギャバ)は正式名称を
「γ(ガンマ)-アミノ酪酸」
というアミノ酸の一種で、特に哺乳動物の脳や脊髄に存在します。

1950年、哺乳動物の脳からGABA(ギャバ)が初めて抽出され、この抽出成功をきっかけに多くの研究がなされるようになり、GABA(ギャバ)が神経中枢で働く抑制系の代表的な神経伝達物質であることがわかりました。

働き・精神的作用・・・不安軽減、安眠、イライラを抑える

GABA(ギャバ)はストレスが発生するとグルタミン酸に酵素が働いて作られていきます。
グルタミン酸が興奮性作用であるのに対し、GABAは抑制作用として機能し、ノルアドレナリンやアドレナリンを抑え、脳内の血流を活発にし、酸素供給量を増やしたり、脳細胞の代謝機能を高める働きをし、睡眠を促したりイライラや不安を改善する働きをもっています。

GABA(ギャバ)が過剰になっても副作用は確認されていないようですが、逆に、不足するとイライラしたり体調不良の原因となってしまい、不眠や不安が強くなります。

抗不安薬・睡眠薬

GABA(ギャバ)はこのように、不安や睡眠に関わるためGABA(ギャバ)を増やすことで不安をとりのぞいたり、睡眠を促す効果が期待できます。

睡眠薬や抗不安薬はベンゾジアゼピン系薬物が使用されますが、これらの薬はGABA(ギャバ)の働きを強めることで、心の不安、緊張を和らげています。また、アルコールも同じようにGABA(ギャバ)に作用しています。
しかし、これらの薬は長期間服用していくと、効果が弱まり増量しても効きにくくなります。

睡眠薬は、睡眠改善薬として処方されますが、一時的な対処療法であって、ベンゾジアゼピン系は長期で服用すると、突如として肉が落ちてきたり、皮膚が荒れてくるといった症状がでてくることもあります。

日本はベンゾジアゼピン系の服用率が世界的にみてもとても高く、危険性についてあまり知られていません。

下記の写真は10年服用し症状がでてきた方の写真。
下山日記さんのブログ

GABA関係のサプリメント

GABA(ギャバ)はよくサプリでも販売されていますが、血液脳関門を通過しない物質であるため、体外からGABA(ギャバ)を摂取しても直接、神経伝達物質として働くことはありません。

そのため、口から摂取しても効果がないとも言われていますが、間接的に血圧を下げる効果があるためリラックス効果はあるようです。そのメカニズムとしては、下記のようなことが考えられているようです。

  1. 体内で吸収後、一旦別の成分に変化して脳に運ばれている
  2. GABAが別の臓器に働き、そこから脳へGABAの分泌量を増やすように命令している

参考URL:ギャバ・ストレス研究センター

2.ドーパミン・ノルアドレナリン

ドーパミンとノルアドレナリン、アドレナリンはフェニルアラニンと、葉酸、鉄分、ナイアシンなどと合成されて生成されていきます。いずれも、興奮性として作用し交感神経を高めていきます。
アドレナリンは脳ではなく、副腎髄質でつくられ血中に分泌されて興奮を高めていく作用があり、「闘争か逃走のホルモン」とも呼ばれます。

2-1.ドーパミン・・・快楽・学習・意欲・運動に関わる

特徴

ドーパミンはフェニルアラニンやチロシンといった化学物質から作られるもので、ノルアドレナリンやアドレナリンを作る元となる神経伝達物質です。

フェニルアラニンはタンパク質構成アミノ酸で、牛乳、卵、肉などの食品中の蛋白質に多く含まれますが、体内では作り出すことができないため摂取する必要があります。

ドーパミンは大脳基底核にある黒質などで生成され、精神活動を活発にして運動、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる「快楽物質」として働きます。

働き・精神的作用・・・快楽・意欲向上

適度な分泌量だと
・楽しい気分になったり、愉快になる
・意欲を高める
といった効果があります。

過剰な分泌になると
物事に熱中しやすくなり、アルコール、ギャンブル依存症に陥ると言われています。また、買いものゲーム、恋愛依存、共依存、ネット依存、スマホ依存といった、人やモノとの繋がりに依存するケースも増えています。
また、統合失調症でみられる幻覚・幻聴、強迫観念、チック症やトゥレット症候群、強迫性障害はドーパミンの過剰分泌とも言われています。

分泌が不足すると
・意欲低下
・集中力・記憶力低下で学習能力がおちる
といった症状が現れてきます。

抗精神薬・・・統合失調症の薬

統合失調症の陽性反応(幻覚、幻聴)は、大脳基底核、中脳辺縁系の神経系統のドーパミンの異常分泌とされるモノアミン仮説により、ドーパミンを抑える投薬治療が行われています。
一方で、陰性反応(無表情、意欲が湧かない、感情停止)には効果ないため仮説域からでていません。

統合失調症の薬は、中脳辺縁系の神経系統のドーパミン分泌反応を抑えるものですが、他の関係のない神経系統にも作用し、特に手が震えたり、ろれつが回らない、足を動かしていないと落ち着かない、チック症といった動作的な副作用が生じます。(アカシジア、ジスキネジア、パーキンソン症候群など)

2-2.ノルアドレナリン・・・交感神経を高める・意欲・攻撃・逃避

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特徴

脳幹にある青斑核でドーパミンを元に作られ、ストレスがかかるとアドレナリンとともに逃走、逃避反応を生じ、心拍数上昇、交感神経を優位に働かせます。
神経を興奮させ「意欲」を高める反面、「不安、恐怖、緊張」を引き起し、怒りやイライラといった精神の不安定性にも影響するため「怒りのホルモン」とも呼ばれます。

働き・精神的作用

適度な分泌量であると「性格形成ホルモン」などと言われることもあります。 
・物事の判断力に優れ、ストレスへの耐性が強くなる
・危機に立ち向かう率先した行動が取れ、リーダーシップも発揮しやすい

しかし、ノルアドレナリンが過剰だと
・イライラしたり、怒りっぽくなる
・キレたり攻撃的になる
といった情緒不安定な状態になります。

逆にノルアドレナリンが不足すると、
・仕事や学習の効率低下、注意力が散漫になる
・外部からの刺激に鈍くなり、意欲や判断力が低下
・無気力、無関心
といわゆる抑うつ状態の症状が現れます。

そのため、抗うつ薬にはSNRI、NaSSAのようにノルアドレナリンに対して作用するものも使用されることがあります。

パニック障害は、ノルアドレナリンの放出する青斑核の神経系統の誤動作であるとも考えられています。

3.セロトニン

セロトニンは、L-トリプトファンから葉酸、鉄分、ナイアシンと合成してつくられていきます。
セロトニンは、うつ病の認知の広まりとともに知られるようになった神経伝達物質で、よく耳にする言葉になりました。
しかし、一方で、メディアのSSRIの売り込み宣伝文句として利用された物質であり、セロトニンが増えすぎるとセロトニン症候群といった交感神経を高める作用などはあまり知られていません。
近年では、非定型うつはセロトニンの低下が認められないとも言われるようになり、むやみに抗うつ薬を飲むことでパニック障害、自傷行為といったアクチベーションシンドロームを引き起こし、境界性パーソナリティー障害や双極性障害といった症状を悪化させているケースも多々あるので注意が必要です。

3-1.セロトニン・・・リラックス、交感神経を高め覚醒にかかわる

特徴

セロトニン(別名 5HT)は必須アミノ酸のトリプトファンから5-HTP(5ヒドロキシトリプトファン)を経て形成され、脳の覚醒、体温調整、生体リズムに関わります。

L-トリプトファンは、肉、魚類、豆類に多く含まれる必須アミノ酸で、体内で作り出すことはできないため摂取する必要があります。(ただし、過剰摂取はセロトニン症候群を引き起す可能性もある。)

脳内セロトニンを生成する場所は脳幹にある縫線核と呼ばれる場所です。
そこから大脳皮質、大脳辺縁系、視床下部、脳幹など広汎な脳領域に投射し様々な作用をもたらします。

夜になり光の量が減少してくるとセロトニンは、松果体でメラトニンに変化し睡眠を促し、睡眠にも関係します、
睡眠中はメラトニンが分泌され、セロトニンは働きませんが、朝になり光を感知するとセロトニン神経が働き覚醒作用として働きます。

体内のセロトニンの90%が小腸など消化管粘膜にあり、脳内の中枢神経には2%存在します
脳内のセロトニンは脳幹にある「縫線核」で生成されますが、腸で生成されたセロトニンが脳内で作用することはほぼありません。

働きと精神的作用

セロトニンは、一般的にはリラックス効果を高め、不足すると、無気力や気分の落ち込みがおこると言われています。
製薬会社によって、うつ病はセロトニンの減少によって起こると言われていますが、実際はその根拠を示すデータはないのが実状です。

うつ病治療にはセロトニン不足という仮説に基づいて、セロトニンの分泌促進やトランスポート再取り込みを阻害することでシナプス間隙のセロトニン濃度を高める抗うつ薬が使用されています。
しかし、セロトニンを抗鬱薬、サプリ等で過剰に摂取しすぎると「セロトニン症候群」と呼ばれる副作用が生じ以下のような症状がでることがあります。

セロトニン症候群の症状
体温の上昇、異常発汗、緊張、高血圧、心拍数の増加、吐き気、下痢、混乱、興奮、錯乱、頭痛、昏睡

さらに、SSRI、SNRIはリストカット・自傷行為、自殺、パニック発作といった
「アクチベーションシンドローム(腑活症候群)」
を引き起す率が高くなります。
服用し続けると双極性障害、境界性パーソナリティー障害的な症状も出始めることもあります。

実際SSRI投与の始まった1998年から自傷行為が急増している。

サプリメント

セロトニンを生成するには、食物にあるトリプトファンかサプリメントである5HTPなど摂取する必要があります。しかし、5-HTPでは血管脳関門を通過し副作用を引き起こすため、食事から摂取するほうが望ましいと言われています。

4.まとめ

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